『海辺のカフカ』
彼女はおそらく意味や論理といった冗長な手続きをパスして、そこにあるべき正しい言葉を手に入れることができたんだ。宙を飛んでいる蝶々の羽をやさしくつまんで捕まえるみたいに、夢の中で言葉をとらえるんだ。
職場でわいわいと
しゃべってはるのを
仕事をしながら聞いていて
峰不二子のことを
みねこ、みねこ、
と言ってはったので、
仕事をしながら
「いや、ふじこやんね」
と気になっていたのやけど、
それはあえて
ちょっといかした感じで
ふじこのことをみねこ、と
言っているのかもしれんから
わざわざつっこむこともないやろう、
と思っていたら、
さんざん、みねこ、みねこと
言った後で、
ようやく、
「ちょっと待って、それってふじこちゃうん」
という声があがって、
僕は仕事をしながら
とても安堵したというか、
そうやんねえ、と思っていました。
『飛行機で眠るのは難しい』
横顔は特徴のない、平板な印象だった。しかし声には不思議な魅力があった。押しつけがましいわけではないのになぜか鼓膜を引き寄せ、しっとりとした響きを持ち、二人の間の狭い空間から決してはみ出さなかった。
ワールドカップの日本対カメルーンだ。
がんばれー。
遠藤選手がんばれー。