少し前にチキン南蛮の話をしていて、
そこから無性にチキン南蛮が食べたい
状態が続いていた。
コンビニに立ち寄った際に、
チキン南蛮が具になっている
おにぎりがあり、それを買おうかと思ったけど、
いや、まてよ、と。
果たしておにぎりの具であるチキン南蛮で
自分のチキン南蛮熱を満たしてしまってもいいのかどうか、
すこし考えた。
僕が今とても欲しているチキン南蛮というのは、
もっとれっきとしたはっきりとしたチキン南蛮なんじゃないか。
それをここで満たしてしまうのもなんだかなあ、と
もっと自然に、来るべき時がくるまで、
チキン南蛮を食すのは控えておいた。
そしてその時がやってきた。
上司が昼食をおごってくれるということで、連れて行ってもらって、
そこに、あったのだ。チキン南蛮定食が。れっきとした。
いわゆるチキン南蛮という、それが。
上司は何でも好きなものを頼んでいいと言ってくれた。
当然チキン南蛮だ。そんなの悩む必要なんかどこにあろうか。
しかしだ、見つけてしまった、メニューのチキン南蛮の隣にある
牛ロース定食を。
求めていたものが目の前にある。
しかしそれを遮るかのように牛ロース定食はあった。
自分としては当然チキン南蛮定食を頼むべきであろう。
しかし、その時の状況を鑑みるに、
上司が奢ってくれるといっている、
牛ロース定食は定食の中で飛びぬけて値を張る一品である、
このようなことから自分は牛ロース定食を頼むことが
適切なのではないかという気がしてきた。
でもね、適切ってなんなんだろうって、
その場における適切さっていうのは、
果たして自分がチキン南蛮に抱えてきた熱を超えるものなんだろうか、
いや、僕は自分の内面にある熱を、温度を信じるべきだ、と
結局、チキン南蛮定食を注文したのです。
それにしても、牛ロース定食を食べてみたいなあ。