ひそひそまつり

日々のことをひそひそと。

実体のない視線

職場の蚕はどんどん繭になっている。蚕マンションは埋まってきている。でもかなり部屋はたくさんあるから、まだまだ大丈夫そうだ。繭の色が黄色くて、すこし心配になったけれど、そういう種類の蚕であるらしい。僕の蚕はまだ糸をはく素振りを見せない。


郵便局から送りものをしようと思って、内容のところに「箱」と書いていたら、窓口の方に「えっと、これは箱だけなんですか?」と尋ねられた。
いやいや、中味もあるんですよ、と窓口の方にボールペンをお借りして「箱」の後ろに「菓子」と書き加えておいた。


職場の方の履かれていたスニーカーがとてもにぎやかな感じやったから、にぎやかですねえ、靴、と言ったら、「そうやろ、すこし派手やねんなあ」と言わはりました。すごい夏らしくていいと思ったから、夏らしくていいと思う旨は伝えておきました。

いよいよ7月になった。祇園祭の準備がされていっている。
賑やかな季節がやってくる。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
僕は頭骨をテーブルの上に戻し、遠くからもう一度眺めてみた。無を思わせる深い沈黙が頭骨をすっぽりと包んでいた。しかしあるいはその沈黙は外部からやってくるものではなく、頭骨の中から煙のように湧きだしているのかもしれなかった。どちらにしても不思議な種類の沈黙だった。それはまるで頭骨を地球の中心までしっかりと結び付けているかのように僕には感じられた。頭骨はじっと黙したまま実体のない視線を虚空の一点にむけていた。