ひそひそまつり

日々のことをひそひそと。

椰子


実家へ帰る。
父から
渡したいものが
あると言われ、
渡された包み紙を
開けると
結構大きめな
信楽焼
たぬきだった。
この間、
信楽に行って
選んでくれたのだという。
立派なたぬきだ。
実家近くの
母や祖母の墓がある
寺へ行く。
そこで
前の住職の
奥さんを見掛けたので
挨拶をする。
奥さんは
今年で84歳になるのだという。
最近は視力が弱まり周りが見えなくなるし、
記憶もどんどん薄れていく。
だから自分の年齢を忘れてしまわないように
年齢は椰子(84)なんだって覚えるように
しているのって微笑みながら話して下さった。
なんだか最近は自分が椰子の実になって
まだ見ぬ孤島の方へぷかぷかと流れていっているような
そんな気がするのよって。
母や祖母のお墓は
最近親戚が来てくれたようで
綺麗になっていた。
花瓶にお供えして頂いた花は
まだ綺麗だったので、
自分達が持って来た花を
そこに加えて飾った。
帰り、通りかかった
小さい頃からあった
近所のスーパーマーケットが
店じまいをしてしまっていたのだった。