ひそひそまつり

日々のことをひそひそと。

ホオジロ

新年度が始まり、
なにかしらとわちゃわちゃしていて
気忙しい気がする日。
夜ご飯を食べてから
星野道夫さんの「旅する木」という
本を読み始めた。
星野さんがアラスカで過ごされた日々が
やさしい口調で語りかけてくる文体で
記されている。
食べ物などなにもない高山地帯で
星野さんはホオジロという小鳥を見掛ける。
迷い込んでしまったのか、渡りの途中であるのか。
食べ物を投げてみても、ホオジロは別に食べる様子もない。
ただテントの周りを、何かを話しかけるかのように、飛び回っている。
“しばらくしてふと気が付くと、ホオジロはもうそこにはいませんでした。生き物の気配など何もないこの世界で、自分と一羽のホオジロが共有した時間が何か可笑しく思えたのです。”
星野さんがホオジロと共有した時間というのは
とても静かだったのだろうなあと思った。
それでいて豊かだったのだろうなあとも思う。