ひそひそまつり

日々のことをひそひそと。

やもり

家の鍵を忘れてきた。
ああ、まずいなあ、と家の前で
途方にくれていると、
家の中に誰かがいる気配がした。
お、帰っているのか、と思って
妹に電話してみたら、やっぱいて、
「鍵忘れたから、玄関あけて」とお願いして、
僕は妹が鍵を開けるのを待ちながら、
玄関の上の窓にいるヤモリを眺めていた。
妹はすごく眠たそうな顔で玄関をあけた。
僕は妹にヤモリを見ていたことを話した。
妹はヤモリとかそういうのは少し苦手だ、と言った。
でも、家を守ってくれているのがヤモリやからなあ、
と言うと、それはわかっているのやけど、
やっぱ、とかげやから、少し苦手だと妹はいった。
ヤモリはよく見てみると、目がかなり愛らしくているから、
今度よく見てみ、と妹に言ってみたのだが、
いや、別にええし、と
それはそれはそっけない返事だった。