500miles


喫茶店へ。
窓側の
半円形の
テーブルに
座る。
左側には
中年の男性が、
右側には
熟年のご夫婦が
座っている。
中年の男性は
自分が食事を終えた食器を
片付けるように
店の女性に
お願いをした。
熟年のご夫婦は
二人揃って
スポーツ新聞を読んでいて
箱根駅伝ばっかりや、
と旦那さんが言っている。
店の女性が
珈琲を持ってきて
中年の男性の前に置いた。
珈琲、ミルク、砂糖。
すると男性は砂糖を持ち
「俺はこれいらんで、
覚えてよ」と言って返した。
店の女性はすいません、と言って
砂糖を持って帰った。
店内のBGMの曲が変わる。
聞いたことがある曲だ、
何だっけと思っていたら、
スポーツ新聞を読んでいた
旦那さんがその歌を口ずさみでした。
思い出した。
「500miles」だ。
以前、学生運動の頃の話を
お伺いした時に、
草薙さんが当時流行っていた
フォークソング、と言って
教えてくれたのだ。
確か歌っているのは
ピーターポール&マリー。
色々な人にカバーされている
アメリカの民謡らしいけれども。
男性は、
何か思い出す所があるのだろうか、
目を閉じて歌っている。
奥さんはその歌を
聞いているのかいないのか、
スポーツ新聞を読み続けている。