ひそひそまつり

日々のことをひそひそと。

 朝から家のPCが前々から気になっていたんで、セキュリティーのソフトをきちんとしてみたり、やっとこさiphoneのOSを新しいやつにアップデートしたりして過ごした。家のインターネットはwifiルーターを使って利用しているのだけれど、久々につけてみたらそれがなんか動きがよくなくなっていて、部屋の場所によってはアンテナが立たなくなったりするから、これよくないなって思って、スリッパ履いて家を出て、近所の電気屋さんに延長コードを買いに行った。商店街はまだ閉まっている店がほとんどで空いているのは薬局とその電気屋さんくらいのものだった。そこで延長コードを買って、家に帰る途中に蕎麦屋さんがあって、そこも今日から店をやっているようだった。そこの蕎麦屋さんは美味しくて、かなり人が来るので、年末には何度かその店の前まで人が並んでいるのを見たことがある。僕も何度かその蕎麦屋さんで食べたことがあるのだけれど、やっぱり美味しい。この前行って、カウンターで食べていた時に隣に座ったおじさんが、多分近所の人でよく来るんだろうけれど、「俺、この間、近所に蕎麦とおにぎりがすごく美味しい店があるって友達に言ったら、是非連れていって欲しいって言ってたわ、そいつはまあ、おにぎりが大好物な奴なんやけど、今度連れて来るわ」と話していた。お店の方は「あいよ、どうも」と言っていた。いや、「あいよ。」とは言わなかったかもしれない。それは勝手なイメージなのかもしれない。でも「あいよ。」らしきことは言っていたと思う。多分きっと言ってたと思う。
 お昼からアトリエ劇研の劇研寄席に行ってきた。毎年、京都の舞台役者さんが落語をする。今年でもう12回目になるそうだ。本当はもっと余裕を持って家を出たかったのだけれど、なんやかんやでぎりぎりになってしまって、3分前くらいに会場に着いた。中に入ると、まだ客席に余裕があって、ああ、今年は少ないのかなあと思っていたら、そこから人がたくさん入ってきて、あれよあれよという内に満席になった。今回はゲストで東京の劇団の方がされるという事だったんだけれど、東京の有楽町のパチンコ店で火事があって、その影響で新幹線が動かなくなっているという事で、開始時点ではまだ到着されてないとの事だった。この新幹線が動かなくなる、という出来事はたくさんの人に影響を与えていたみたいで、ツイッターとか見ていても、実際にそこで待ちぼうけをくらっている人の状況がツィートされていたりして、正月早々大変だなあと思った。どなたかがツィッターで仰っていたけど、こういう事があると都市の機能というのは脆弱なものだなあと言っていて、確かにそうだなあ。もおどうしようもなくなってしまうのだから。その到着できていなかった東京の役者さんはちゃんと自分の番までには間に合われました。よかった、よかった。落語を聞いていて、「縁」というのは不思議なものだなあと思った。落語の中の人々は「縁」で望むと望まざるとに関わらず、何かに巻き込まれていく。そのせいで、酒が飲みたいおじさんの話を聞かなくちゃならなかったり、奉公先を紹介してもらえたり、釣りに一緒にいかなくちゃならなくなったり、意地っ張り同志が道で向かい合って、道を譲らずに立ち尽くしていたり。あと夫婦の縁の話であったり。今回、二口大学さんは「厩火事」という噺をされていて、髪結いをして働いている奥さんと働きもせずにぶらぶらしている旦那さんがいて、夫婦喧嘩をした奥さんがその旦那さんのお兄さんにもう離婚しようと思うって相談しに行って、そのお兄さんは最後に旦那を試してみなって、旦那さんが大事にしている皿を割って、その旦那さんが何よりも皿の心配をするようなら、離婚しなって、そうでなく奥さんの体を第一に心配するようなら考え直してもいいんじゃないかって、提案する。奥さんはそれを試してみることにするんだけれど、もう心配で心配で、というのも離婚するとは言ったものの、やっぱり旦那さんの事が好きで、実際に皿割ってみて、皿の事ばかりを言って、離婚することになったらどうしようって。家に帰って、奥さんは旦那さんの前で皿を割るんだけれど、旦那さんはしょうがねえなあって言って、奥さんの指に怪我はなかったか、って奥さんの体を心配する。それを聞いて奥さんは泣いて喜んで旦那さんに「あんた、私の心配をしてくれるのねえ」と言うわけだけれど、旦那さんは「あたりめえじゃねえか、お前が指でも怪我して髪結いの仕事ができなくなったら、おれが遊んで暮らせねえじゃねえか」というのがオチ。二口さんが演じられていたこのご夫婦はとても愛らしく表現されていて、なんか、もう別れるとはいうもののやっぱ好きな部分もあって、相手の事を思わないわけではないんだけれど、どっかで自分のことも考えていてっていう、そういう人間ぽい所がとてもよかったなあ。そういえば谷川俊太郎さんの詩で、今まさに死に面している男がいて、その男は病院で寝ていて、周囲にいる家族の考えていることが伝わってくるのだけれど、奥さんは男の隣で心から悲しんでいて、でも少しだけ生命保険のことも考えていて、それが気になるっていう箇所があったんだけれど、それを思い出した。
 劇研寄席が終わってから飲みにいった。そこで久々の友達と話をした。まだ三が日なんだけれど、店は開いていて、結構人が混んでいた。友達は以前から翻訳の勉強をしているのだけれど、依然としてその勉強を続けていて、そのストイックさとぶれなさは本当に尊敬する。自分にはなかなかできない取組の姿勢なんで、話していて刺激を貰った。久々にビールを飲んで、少し食べすぎたので気分が悪くなった。
 家に帰って、机に置いてあった蜜柑を食べた。すっとしてとても美味しかった。この時期の蜜柑は欠かせないものであると思う。ここの所、柑橘類の頂きものが多くて、柚子とか檸檬とか集まってきている。ありがたい事だなあと思う。