アンチョビ

どひさんと飲みに行った。
パンが出てきて、それに塗るやつ(タブナードというらしい)が
どひさんはすげえ好きみたいで、
でもそれの原材料の名前をど忘れしてしまって困っていた。
「あの、ほら、魚の、辛い部分の、うまみの部分の・・・」
何か思いついたものを言ってみるよう僕に振られて
シーチキン、シーチキン、と思いついたことを言ってみたけど、
全然違うかったみたいで、結局僕はどひさんの記憶を呼び起こす
有効なパスを出すことはできず、その場はあきらめることとなった。
そんなどひさんはここの所、決意をしたというか、
ターニングポイントがあったというか、
自分が舵をとっていく方向性を絞ったというか、
まあ、なんというか、どひさんにとって大切な決断があったみたいで、
その為に費やしている時間や労力について話を聞くに、
すげえ大変そうだと思うのやけど、
なんか楽しそうで、わくわくとした感に満ちているどひさんを見ていて、
いい顔をしてなさる、という風に僕は思ったのだった。
店を出て、僕は自転車で家に帰って、
ごろごろとしていたら、どひさんからメールがきて、
原材料の名前はアンチョビでした、と書いてあった。